「饅頭怖い」の知らなかった舞台設定。
今月の会、行ってきました。トリの志らくさん以外、なんだかぱっとせず。後ろの席で、どうでもいい所でやたら笑うおっさんがいて(なにしろ「あけましておめでとうございます」で爆笑。 どうやら、1/30なのに「あけおめ」が面白かったらしい)
志らくさんの落語は、変化球の前振りにベタな本題、という味な組み合わせでした。
*** 前振り
落語に出てくる「長屋」というのは、TVの時代劇に出てくるような小奇麗なものではない。映画「どん底」に出てくるような、悲惨な貧民窟だ。
※これは志らくさんのよく言う言葉で、私はこれを聞いてDVD「どん底」みちゃったくらいです。…想像以上でした。およそ人が住む様な環境じゃないです。
こんな感じ
そんな貧乏で、餓鬼みたいな長屋の連中が、よせばいいのに「花見」や「喧嘩」をしたりしようとするからこそ、長屋噺は面白い。
なんていう話を前振りに本題がスタートしました。なので、てっきり長屋噺がくると思うじゃありませんか。しかしなんと本題は「饅頭怖い」でした。来たな変化球。=D
*** 饅頭怖い
つまり「この”饅頭怖い”は”長屋噺として聴いてNE”」という訳なのです。
ゴミ捨て場に屋根と寝床があるだけような長屋の中で、小汚くてムサい中年男が寄り集まって駄目集団をモチーフにした「饅頭怖い」の開幕です。
いや、面白かったです。同じ台詞でも、シチュエーションが貧乏長屋の貧乏人、しかもいい大人というかおやじどもですから、滑稽さに重みがあります。饅頭を用意するにしたって、連中からすればおそらく全財産を
使って用意したことは間違いありません。そもそも、毎日食うに困ってる連中が、こんな事に金を使うって発想自体、馬鹿ですよね。でもって食い物にされてる。馬鹿の極み。馬鹿の無様さを冷徹に描いてます。=D
そして、ハイライトは騙す側の発狂演技ですかね。普通「饅頭怖い」では、騙す側の演出は、饅頭の話を聴くと極度に怖がる演出をするのがセオリーですが、志らくさんのは、饅頭と聴くと恐怖の余り「発狂する」演出でした。白目剥いて奇声を発し、おこりにかかったように震え、ビックビックンのけぞる…!
やばかったです。あれはTVでは放映できませんね。爆笑ものでした。
でも、確かに、あれを見れば「聞くだけでアレなら、実物見たらどうなっちゃうんだろう…」と思ってしまうのも無理ない話なのかもしれません(笑)。
何かと刺激の多い21世紀、古典落語そのままの笑わせ方ではもはや振り向く人はいない、というのも志らくさんの持論ですが、この「饅頭怖い」は、それに対するベタなアンサーだったと思います。
来月も行きたいのですが、来月の一門会は平日なのでペケ。次の次の、3月までおあづけですな。むふう。
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